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和馬はバツ悪い気持ちの中、ジャケットを脱ぐと、
円香は無言でそのジャケットを受け取り、ハンガーにかけながら
「あら、今日は香水の匂いしないのね」
と思わず嫌味を言った。
顔をしかめテーブルにつく和馬に、
円香は無言でキッチンに行き、粗末にも思える簡単な料理を用意をした。
自分に対する明らかな攻撃に、和馬も今日ばかりは、不満を口にすることができずに、それでも不機嫌そうに食事を口に運んだ。
円香は料理を出し終えた後、「亜美、お風呂に入ろうか」と亜美に優しく声をかけた。
「亜美はパパと入りたい」
亜美は珍しく早く帰って来た父親と少しでも長く一緒にいたい様子でキッパリとそう言った。
その言葉に、和馬は思わず微笑した。
「じゃあ、亜美、パパと入ろうか」
「うん!パパと入る!」
気まぐれに早く帰って来て、ろくに子供の面倒もみず、都合のいい時だけかわいがろうとする和馬に、円香は面白くない気持ちを隠せなかった。
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