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「さっ、バス停まで行こうか」
その言葉に亜美は「うん!」と元気に返事をする。
――この重い心も楓君とすれ違うことが出来たら、少しは晴れるのかな?
そんなことを考えながら外に出てバス停に向かい歩き出すと、いつもの高校生たちの姿が見えてきた。
しかし、そこに楓の姿はなかった。
「あれぇ? 楓ちゃんは?」
屈託なくストレートに声を上げた亜美に、
「広瀬は……いや、『楓ちゃん』はね、遅刻だって」
と笑顔で答え、
「亜美ちゃん、バイバイ」
と手を振ってくれた。
亜美も手を振り返しながらキョトンとして、円香を見上げた。
「ママ、ちこくってなぁに?」
「遅れちゃうことだよ」
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