1342人が本棚に入れています
本棚に追加
和馬はビールを口に運んだ後、言い難そうに口を開いた。
「……今日たまたま名古屋支店に電話をかける用があって、杉田と話したんだ」
その名にドキンと鼓動が跳ね、美佳は目を見開いた。
「もう、別れていたことを聞いたよ……俺のせいだな。
本当にすまない」
和馬はそう言ってすまなそうに目を伏せた。
「……そう、聞いちゃったんだ」
美佳は遠い目を見せた後、ふっ、と笑った。
「でも、気にしないで。
仕方のないことだし、運命だと思うのよ。
和馬さん、わざと、キスマークつけたんでしょう?
私を裕也に渡したくなくて。そのくらい想っててくれたことは嬉しかったわ。
それって……」
美佳は息をつき、まっすぐに和馬を見据えた。
「それって、円香先輩より、私の方を想っていてくれているってことよね?」
瞳をそらさずにそう尋ねて来た美佳に、和馬はゴクリと息を呑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!