【旋 律】前編 第十一章

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  和馬はビールを口に運んだ後、言い難そうに口を開いた。 「……今日たまたま名古屋支店に電話をかける用があって、杉田と話したんだ」 その名にドキンと鼓動が跳ね、美佳は目を見開いた。 「もう、別れていたことを聞いたよ……俺のせいだな。 本当にすまない」 和馬はそう言ってすまなそうに目を伏せた。 「……そう、聞いちゃったんだ」 美佳は遠い目を見せた後、ふっ、と笑った。 「でも、気にしないで。 仕方のないことだし、運命だと思うのよ。 和馬さん、わざと、キスマークつけたんでしょう? 私を裕也に渡したくなくて。そのくらい想っててくれたことは嬉しかったわ。 それって……」 美佳は息をつき、まっすぐに和馬を見据えた。 「それって、円香先輩より、私の方を想っていてくれているってことよね?」 瞳をそらさずにそう尋ねて来た美佳に、和馬はゴクリと息を呑んだ。  
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