【旋 律】前編 第十一章

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. ――――… 亜美を寝かせ終え、円香は気だるげにソファーに座りながら和馬の帰りを待っていた。 何度も溜息をつき、テーブルの上に無造作に置かれた結婚指輪に視線を落とし、呼吸が苦しくなるような気がしてギュッと目を閉じた。 ――駄目。 今夜こそ逃げずに話し合おう。 あの夜は部長の接待と言っていた。 その時、彼が一晩の間違いを犯したとしたら、それは許せることではないけれど、夫婦互いに何か問題があるに違いない。 ちゃんと話し合わなきゃ駄目だ。 ただ、何もいわずに険悪なままでいたら、どんどん雰囲気が悪くなっていくだけだ。 そんなことを思っていると、家の電話が鳴り、円香の身体が目に見えて分かるほどに大きくビクついた。 また、無言電話? 身震いするような気持ちの中、そっと着信番号を確かめると、 今回は会社の電話番号ではなく、見たこともない番号だった。 誰だろう? 警戒心を抱きながらも、「はい、西沢です」と受話器を取り、平静な声でそう言った。  
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