【旋 律】前編 第十一章

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  『……円香先輩? 私、美佳です』 受話器の向こうの美佳の声に、円香は安堵し、わあ、と明るい声を上げた。 「わぁ、美佳ちゃん。 メールではやりとりしてたけど、電話で話すなんて久しぶりね。 元気だった?」 『――和馬さん、帰っていないでしょう?』 「うん、まだだよ。 いつも遅くて。だから気にしないで」 良かった、このタイミングで美佳ちゃんが電話かけてきてくれるなんて。 この際だから色々話を聞いてもらって、第三者の意見としてのアドバイスをもらえたら…… 円香が救われたようにそう思っていると、電話の向こうで、 『美佳、誰に電話してんだよ!』 と焦ったような和馬の声が聞こえてきた。  
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