【旋 律】前編第十一章

―――えっ？

円香は何が起こったのか理解できずに、ただ目を見開いた。

『円香先輩、私ね、あなたの旦那さんと一緒にいるの。
遅くなる時はいつも一緒よ、今ホテルで……』

ガチャッ。

そこで電話が切れた。

ツーツーと響く音を耳にしながら、円香は茫然と立ち尽くした。

――どういうこと？

心臓がバクバクと激しく音を立てた。