【旋 律】前編 第十一章

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  やっぱりあの日、彼は浮気をして来たんだ。 誰かと寝て来たんだ。 円香の手が震えてくることが分かった。 どうしよう……どうしよう! 円香は混乱しながらソファーに座り、和馬に電話をしようかと受話器を手にした。 震える指で何度も電話をしようとしながらも、途中で断念した。 今話して、どうなると言うんだろう。 問い詰めて、どうなると言うのだろう。 何かの間違いだと、心のどこかで思いたかった。 円香は荒くなる呼吸に、胸を拳で押さえた。  
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