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――――…
楓は今、まさに中間テスト最終日を迎えていた。
クラスメート達が短い休憩時間を利用して、必死で参考書を開く傍ら、楓は勉強とは関係のない厚い本に目を通していた。
そんな楓の姿を見た、布施がからかうように笑った。
「おっ、広瀬博士が休憩時間にお勉強なんて珍しいですね。
いつもは“今更、参考書開いて何になるんだ?”って涼しい顔してらっしゃるのに」
そう言った後、楓が試験勉強とは関係のない本を読んでいることに気付き、
「おい、広瀬、何読んでるんだ?」
と身を乗り出した。
そして無理やりその本の表紙を見て、
「やだ、広瀬君ったら、六法全書をお読みになっているんですか?」
と、わざとらしく身震いした。
そんな布施の茶化すような言葉にも楓は眉ひとつ動かさず平静な表情で、ああ、と頷いた。
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