【旋 律】前編 第十二章

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  彼女が帰った後、 円香は、ふぅ、と溜息をつき食器を下げようとした瞬間、急な吐き気に襲われ、キッチンに駆け込んだ。 ムカムカと胸焼けがするような吐き気には、どこか覚えがあった。 この感じ……。 円香は咄嗟にカレンダーに目をやった。 ――そういえば、生理が来ていない。 もしかして……妊娠したの? 円香はソファーで和馬と抱き合った夜を思い起こし、呆然と目を見開いた。 妊娠……したんだ。 そう、待望の第二子だった。 どうしよう。 あんなに……あんなに望んでいたのに、嬉しくないなんて! 円香は腹部に手を当てながら、目に涙を浮かべた。  
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