【旋 律】前編 第十二章

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  円香は美佳と対峙しながら、自分の心が落ち着いていることが不思議だった。 明らかに彼女の方が動揺して見え、その姿がまた円香の心を落ち着かせることにつながった。 「美佳ちゃんは、うちの旦那……和馬といつから?」 「えっ?そうね……半年くらい前かしら」 「美佳ちゃんは不倫をするようなタイプじゃないわよね?そんなあなたがどうして?」 「それは……」 あんたが気に入らなかったから……そう言いかけ口を噤んだ。 そんな低俗な理由で不倫に走ったとは言いたくなかった。 「――和馬さんをずっと好きだったからよ」 それは少なからず嘘ではなかった。 和馬が円香と付き合った時、そして結婚が決まった時、大きなショックを受けていた。 そう、円香が気に入らなかったのは、単純に自分がいいと思っていた男を意図も簡単に手に入れたからだ。  
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