【旋 律】前編 第十二章

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  円香が「はい」とインターホンを確認すると、 『あっ、すみません、広瀬です』 と楓の姿が画面に映り、 まだ、お昼なのに? と円香は戸惑いつつ玄関を開けると、そこには茶封筒を手に息を切らしている楓の姿があった。 「――楓君、学校は?」 「今、お昼休みなんで」 額に汗を滲ませ、息を切らしながらそう言った楓に、円香は驚き言葉を詰まらせた。 「わ…わざわざ、お昼休み、抜け出してくれたの?あっ、どうぞ入って」 「いえ、これを渡しに来ただけなんで、ここでいいです」 そう言って楓は茶封筒を差し出した。  
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