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円香は戸惑いながら中を確認すると、楓が作成した『訴訟方法』『証拠になる物』等と書かれた書類が入っていた。
早速、作って持って来てくれたなんて……。
目頭が熱くなり、涙が滲んだ。
「円香さん、大丈夫ですか?気をしっかり持ってくださいね」
真っ直ぐに見詰めて心配そうに告げる楓の姿に、円香は堪えきれずに涙を零した。
「……つらいですよね」
切なく目を細めた楓に、円香は、ううん、と首を横に振った。
「――違うの、楓君があんまり優しいから……」
つらい時に優しさがこんなにも染みる。
私の為に、こんなに心配してくれて、ここまでしてくれるなんて。
楓の優しさに、涙が止まらなかった。
「これ……」
弱ったようにそっとハンカチを差し出した楓に、
「ありがとう、本当に優しいのね」
とハンカチを受け取り、涙を拭った。
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