【旋 律】前編 第十二章

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  心配そうな瞳を見せる楓に、円香は笑みを見せた。 「本当にありがとう、大丈夫よ」 その穏やかな笑みに、楓は少しホッとしたような表情を見せた。 「それじゃあ、午後の授業があるんで、学校に戻りますね」 「そうね、せっかくの休憩時間を潰させてしまってごめんなさいね」 「いえ、そんな。いつでも力になりますから、何かあったらメールくださいね」 楓はそう言って真っ直ぐに円香を見詰めた。 ――ああ、なんて綺麗な目だろう。 私より14歳年下の男の子に、こんなにも勇気付けられるなんて。 私は一人じゃなく、亜美がいるということを気付かせてくれるなんて。 ――ありがとう、楓君。 円香はギュッと両手を組んだ。  
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