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しばし呆けたようにテーブルで頬杖をついていた円香だが、壁掛け時計を見てハッとして顔を上げた。
やだ、もう亜美を迎えに行かなきゃならない時間。
そう思い腰を上げた瞬間、『ピンポーン』とインターホンがなった。
「はい」
とインターホンを確認すると同時に、
『円香先輩?美佳です』
画面に美佳の姿が映し出された。
円香は鼓動はバクンと跳ね上がった。
―――決着に来たんだ!
バクバクと鼓動が打ち鳴らす中、
「……ちょっと待って」
と言ってインターホンを切り、震える手で携帯電話を取りママ友達のさやかに電話をかけた。
『あっ、さやかさん?
ちょっと、緊急事態が発生してしまって、亜美を迎えにいけなくなったんです。
少しの間、預かってもらえませんか?』
さやかとは用事が入った時や具合が悪い時に、互いに子供の面倒を見ることがしばしばあった。
快く了解してくれたさやかに円香は丁寧に礼を言って電話を切り、
深呼吸をしてリビングを出た。
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