【旋 律】前編 第十二章

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  しばし呆けたようにテーブルで頬杖をついていた円香だが、壁掛け時計を見てハッとして顔を上げた。 やだ、もう亜美を迎えに行かなきゃならない時間。 そう思い腰を上げた瞬間、『ピンポーン』とインターホンがなった。 「はい」 とインターホンを確認すると同時に、 『円香先輩?美佳です』 画面に美佳の姿が映し出された。 円香は鼓動はバクンと跳ね上がった。 ―――決着に来たんだ! バクバクと鼓動が打ち鳴らす中、 「……ちょっと待って」 と言ってインターホンを切り、震える手で携帯電話を取りママ友達のさやかに電話をかけた。 『あっ、さやかさん? ちょっと、緊急事態が発生してしまって、亜美を迎えにいけなくなったんです。 少しの間、預かってもらえませんか?』 さやかとは用事が入った時や具合が悪い時に、互いに子供の面倒を見ることがしばしばあった。 快く了解してくれたさやかに円香は丁寧に礼を言って電話を切り、 深呼吸をしてリビングを出た。  
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