【旋 律】前編 第十二章

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  玄関のドアを開けると、そこには上品なスーツを身に纏い知的な雰囲気を醸し出した、美しい美佳の姿があった。 緊張に顔を強張らせながらも、洋服からメイク、爪の先まで気合を入れて来ていることが伝わって来た。 「――どうぞ」 円香は言葉少なく美佳を家に招き入れた。 ――自分でも意外だった。 美佳の顔を見るなり、半狂乱になるかと思ったが平静でいられた。 美佳自身も円香が金切り声を上げて飛び掛ってくることを想像していた為、拍子抜けた様子で「お邪魔します」とバツ悪そうに告げながら部屋に上がった。
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