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「和馬さんは、もう円香先輩を愛してないわ。
それは円香さん自身気付いてるでしょう?
愛のない結婚を続けることほど、虚しいことはないと思うけど」
冷ややかにそう言う美佳に、円香は動じもせずに視線を合わせた。
「――うちには亜美がいるわ。
そのことについてはどう考えるの?」
「円香さんが引き取るでしょう?養育費は払うわよ」
アッサリそう言い放った美佳のあさはかな言葉に、円香は思わず苦笑した。
「お金のことだけじゃないわ。和馬は私はともかく亜美を愛しているの。
そして和馬の両親は並々ならぬ愛情を亜美に注いでるわ。
結婚と言うのは和馬一人とするわけじゃない西沢の家と結びつくのよ。
和馬の両親はあなたを簡単には受け入れないと思うし、想像を絶する苦労があると思うわよ。
少なからず祝福された結婚ではなくなる。
そういうこと、ちゃんと考えた?」
結婚は彼とだけするものではない。
理屈では分かっていたが、重みのある言葉に、美佳はグッと息を呑んだ。
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