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「円香さんは言いたいことがあるなら言ったって構わないって、
もっと正直にわがままになってもいいって言ってくれましたけど……」
そう言って楓が熱い視線を向けたので、円香は息を飲んだ。
握った手は小刻みに震えながらも、力が込められた。
「円香さん、僕は……」
僕は……―――
何かを言おうとして、楓は目を細め、俯いた。
苦しいような沈黙が訪れた。
楓は俯いたままかぶりを振り、目に涙を浮かべて顔を上げた。
「……やっぱり言えません」
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