【旋 律】前編 第十三章

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  目頭が熱くなる。 震えながらも、強く堅く手を握っていた。 円香は手から伝わる熱に目眩を覚えながら、楓を見詰めた。 涙が零れ落ちそうになることを感じ、泣いてはいけない、とグッと堪えた。 泣いてしまえば流れる涙と一緒に、この込み上がる熱い感情に流されてしまうかもしれない。 堅く握り合ったままの手を見詰め、切なさに胸を焦がした。  
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