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彼は医務室の扉を開き「田中先生、いますか?」と声をかけたが、そこはもぬけの空だった。
「いないのか。
あっ、君はそこに座って」
その言葉に亜美は「はい」と丸椅子に座った。
彼は薬箱から消毒液などを取り出し「それじゃあ手を見せて」と手を差し伸べた。
「は……はい」
彼を前にウットリと惚け、思わず傷ついていない方の手を差し出した亜美に、
「いや、こっちを出されても…」
と彼はクスクス笑った。
「あっ、すみません」
亜美は真っ赤になりながら、慌てて傷ついた手を差し出した。
彼は優しくその手を取り、血が滲んだ部分に消毒液をつけた。
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