【旋 律】前編 第十六章

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  そして亜美の姿を見て驚いたように目を丸くする薫に、 「あっ、じゃあ、私はそろそろ帰りますね。 コーヒーごちそうさまでした」 と亜美は慌てて頭を下げて、部屋を出る準備をした。 「どういたしまして」 そう言ってニッコリと微笑む楓に会釈をし、亜美はそそくさと書斎を出た。 まったく、いいところを邪魔しに来やがって、あの弟め。 そう思いつつ楓を思い浮かべ、亜美はニンマリ笑った。 やっぱり素敵だったな。 そして、凄く優しい。 一目で恋に落ちた、私の直感は間違いないわ! そう思い、亜美はウキウキした気持ちで大学を後にした。  
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