【旋 律】前編 第十七章

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「あれ、亜美ちゃん、また来てたんだ」 そう言って楽しげに笑った薫に、 「いいじゃないですか」 とドキドキする心を隠して亜美は目をそらした。 どうしよう、顔が熱くなる。 「亜美ちゃん、これから薫と食事に行くんだけど、君も一緒にどう?」 笑顔でそう言った楓に、 「おっ、兄貴、ナイス!」 薫が嬉しそうに声を上げたのを聞き、亜美は頬を赤らめた。 「ぜ、ぜひ、ご一緒したいです」 俯きながらそう答えると亜美の言葉に、薫は「やった」と声を上げた。 そんなに露骨に喜ぶなんて……やっぱり薫先輩、可愛いいなぁ。 亜美は胸がキュンと詰まることを感じながら、自分が薫に惹かれていることをしっかりと自覚し、自分を落ち着かせるようにそっと胸に手を当てた。
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