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「……あの後から14年よね。楓くんその間、恋愛は?」
シミジミとそう尋ねた円香に、楓は目を開いたあと小さく微笑みながら、腰をかけた。
「それはまぁ……〝一通り〟」
魅惑的な流し目を見せながらそう告げた楓に、円香は一瞬ドキッとしながらも、昔の会話を思い出しプッと吹き出した。
「やだ、じゃあ、『一通り』のことを問い詰めて顔を赤らめる純粋な少年はいなくなっちゃったんだ?」
クスクス笑いながらからかうように身を乗り出した円香に、
「ええ、そうですね。寂しいことに、そんな少年はもうどこにもいません」
と楓も笑いながら答えた。
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