【旋 律】前編 最終章

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   目頭が熱くなり、ポロポロと涙を零した円香に、 「円香さん」 楓はそっと肩に手を乗せた。 亜美と薫は笑みを浮かべながら互いに顔を見合わせ、邪魔にならないようにそっとリビングを後にし、 楓は優しく円香を抱き寄せた。 楓の広い胸に包まれ、自分の頬に流れる涙がとても熱く感じていた。 どれだけ、この胸に飛び込むことが出来たらと願っただろう。 自分にはその資格はないと思っていたんだ。 「……楓くん、私でいいの?」 そう漏らすと、楓は抱き締めた腕に力をこめた。 「奇跡のように巡り会えたんです。 もう離しません」 そう告げた楓に円香はウッと嗚咽を漏らし、また涙を零した。
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