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「付き合って二年経った頃だったかな?
その彼女はお酒を飲むと癖が悪くなる部分があったみたいで、僕の時のように酔っ払った勢いで、他の男と寝たんです。
僕は許せないと言うより、気持ちがひどく冷めてしまい、それがキッカケで別れました」
楓はそこまで話し、ゆっくりコーヒーを口に運んだ。
「その後は……恋もしました。お付き合いした人も数人います。
でも、恋が愛に変わることが出来ずに終わってしまったことが多かったです」
「……楓君にとって、恋と愛は大きく違うの?」
難しい顔でそう尋ねた円香に、楓は「はい」と頷いた。
「僕にとっての話なんですが、恋は一緒に過ごすのが楽しくて、その人を求めて、そして想われることを望みます。
でも愛は全力をかけて守りたいと思うことです。
思われなくても見返りもなく、その人の幸せを祈ることです。
親が子を思うのも愛ですよね。なんの見返りもなく、愛しますよね?」
「そうね……」
円香はゆっくり頷いた後、腑に落ちないように顔をしかめた。
「でもね、恋が愛に変わった時は、その人を身体的に求めず想われることを求めず、ただ、ひたすら守り親が子を愛するように愛するの?」
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