【旋 律】後編 第三章

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  そして薫は呆然と立ち尽くす亜美の姿を見て、 「あ…亜美」 と漏らし、明らかに焦ったように目を泳がせた。 亜美は何も言わずに踵を返し、二人に背を向けスタスタと歩き出した。 「お、おい、亜美、待てよ、ちょっと……」 そう言って薫が亜美の肩に手を乗せた瞬間、 亜美はその手を持ち、バターンと背負い投げした。 すぐ側にいた美樹は、 「久々に見たわ、こんなに綺麗な一本背負い」 と呟き、苦笑した。 周囲の人間も理沙もポカンと目と口を開け、 亜美は目を回している薫を冷たく見下ろし、 「その汚い手で私に触らないで!」 と言い放ち、学食を飛び出して行った。  
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