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そして薫は呆然と立ち尽くす亜美の姿を見て、
「あ…亜美」
と漏らし、明らかに焦ったように目を泳がせた。
亜美は何も言わずに踵を返し、二人に背を向けスタスタと歩き出した。
「お、おい、亜美、待てよ、ちょっと……」
そう言って薫が亜美の肩に手を乗せた瞬間、
亜美はその手を持ち、バターンと背負い投げした。
すぐ側にいた美樹は、
「久々に見たわ、こんなに綺麗な一本背負い」
と呟き、苦笑した。
周囲の人間も理沙もポカンと目と口を開け、
亜美は目を回している薫を冷たく見下ろし、
「その汚い手で私に触らないで!」
と言い放ち、学食を飛び出して行った。
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