【旋 律】後編 第五章

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  “奥さん以外愛せない” ハッキリとそう告げた楓の言葉を思い浮かべ、亜美はハァと熱い息をついた。 ――お父さんは本当にママが好きなんだ。 なんだか好きな人に、そこまで想われるのって羨ましい。 それに引き換え薫は……。 亜美はまた落ち込み、今度は重い溜息をついた。 すると、またイヤホンから『トントン』とノックの音が聞こえ、亜美はキョトンとして耳に神経を集中させた。 また、お客さん。 今日はお父さんの書斎、盛況なのね。  
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