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そして墓地脇の生花店で足を止め、菊の花を買おうとする楓の姿に、
ああ、お墓参りなんだ。
と亜美はようやくホッとして胸を撫で下ろしつつ、
「ねぇ、お父さん、菊の花なんてやめようよ。
別にお墓参りに菊の花じゃなきゃいけないってことはないんだし、私はひまわりがいいなぁ」
とイキイキとしたひまわりを指した。
そんな亜美に楓は少し笑って「そうだね」と、ひまわりの花束を購入し、水汲み場で水の用意をして、墓地の中に足を踏み入れた。
「円香とは結婚前に来たんだけど、亜美はまだだったから、ずっと連れてきたいと思ってたんだ」
楓はそう言って『広瀬家の墓』と書かれた墓石の前で足を止めた。
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