【旋 律】後編 第六章

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  「――僕はね、こんな自分に誰かを好きになることができるのかな?って本気で思ったことがあるんだ。 恋愛は感情的になることと密接したものだと思っていたからね。 高校一年生の頃、はじめて女の子と交際したけれど、結局好きにはなれずに終わったんだ。 やっぱり自分は能面のような人間なんだろうって思っていた」 楓は過去を振り返りながら、そう言って遠い目を見せた。 心配そうに見上げる亜美に、楓は優しい笑みを見せた。 「そんな僕に感情を取り戻してくれたのは、他でもない円香なんだ」 「えっ?」  
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