【旋 律】後編 第六章

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  「17歳の頃、円香と出会って僕は感動させられたり心配させられたり、彼女の苦しむ姿に胸を痛めたり、激しい憤りを感じたり……。 彼女と関わって僕は感情の全てを取り戻すことができたんだ。 切なくて苦しくて恋焦がれる気持ち、会いたくて、でも会ってはいけないと身を切り裂かれるような気持ち。 自分のふがいなさに悔しくて眠れない夜。 戸惑いながら苦しみながら、『ああ、僕にはちゃんと感情があるんだ。怒ったり泣いたりできるんだ』って彼女のお陰でそう思えた」 楓はそう言って嬉しそうに目を細め、天を仰いだ。  
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