【旋 律】後編 第六章

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  「何笑ってんだ?」 電話を終えた楓はポカンとして腹を抱えて小さく笑う布施を見た。 「い、いや、あの子カワイイよ。からかいがいがありすぎ。あの顔!」 そう言ってまた笑う布施に、楓は眉をひそめた。 「何を言ってからかったんだ?」 「ん?いや、別に……? 俺が心理学の道に進んだ真の理由を伝えただけだよ」 そう言って、ふぅ、と息をつき頬杖を付いた布施に、楓はキョトンと目を開いた。 「お前が、心理学の道に進んだ真の理由って?」 「好きな人の心の傷を癒してあげたかったんだよ。 想いが叶うはずもない相手だから、その傷を癒す手伝いくらいはしてやりたいと思ってた」 でも、その必要すらなくなったんだよな。 最後の言葉は聞こえないほどの小声でそう言って遠い目を見せた布施に、楓は「……そうか」と目を伏せた。 「それで刹那的恋愛を繰り返してるわけだ。 ……お前もつらいな」 痛み入るようにそう告げた楓に、 「広瀬クンは優ッしいなー」 と布施はそう言ってニッと笑った。 「自分が苦しくなると、そういう素振りを見せるところも変わってない」 サラリとそう告げた楓に、布施は思わず頬を赤らめ、バツ悪く目をそらした。  
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