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「私ね、ママとお父さんが再婚する少し前に仙台のパパに会いに行ったの。
実はそれまで会うことを避けてたんだけど、ママの再婚も決まったことで、ようやくパパも許してあげようかな、って気持ちになって……。
道場の遠征で仙台に行くついでにパパと待ち合わせして、一緒に食事することにしたの」
必死に話す亜美の言葉を楓は黙って聞いていた。
「でね、パパにママが再婚する話をしたら、すごく落ち込んだ様子を見せたの。
不思議に思って『どうして落ち込むの?パパだって再婚してるくせに』って聞いたの」
亜美はそこまで一気に話し、息をつき、また話し始めた。
「……そしたら、
『再婚はしたけどママのことが忘れられない、きっとずっと好きだろう』なんてことを言うから、『そんなに好きならどうして浮気したの?』って聞いたら、
『憧れていたママがだんだん若くなくなって、所帯じみていってしまうのが嫌だと思ってしまって、出来心で浮気をした、本当に好きな人と結婚できていたのに男は馬鹿だから間違ってしまう』って、そう言ったの」
亜美はそう言って目を伏せた。
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