【旋 律】後編 第七章

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  それでも薫とたまに会ってデートするのはとても楽しいし、最近は前みたいに身体を求めて来なくなった。 亜美はゴロンと寝返りを打ち、うつ伏せになって頬杖をつきながら薫のことを思い起こした。 ―――そういえば、いつから求めて来なくなったのかな? あ、そうだ。 夏休み前、私に盗聴器入りぬいぐるみプレゼントをよこしたストーカー男に説教しているのを目撃されてからだ。 私のことを『器が大きい』なんて過大評価してくれて、相応しい男になりたいって言ってくれた薫……。 そう思えばなんだか、最近は顔付きも変わってきたみたい。 亜美はフフッと笑ったあと、盗聴器の出来事から布施の顔を思い浮かべ、思わず顔をしかめた。  
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