【旋 律】後編 第七章

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  「やっぱりお父さんって『文学』だよね」 「はっ?」 「お父さんって本の中から出て来た人みたいだもん。 美青年で博学で優しくて、なんだか、いつでもバックに薔薇を背負ってモーツアルトとか流れてそう」 そう言った亜美に、楓は「文学ね」と小さく肩をすぼめた。 亜美はクスクス笑いながら、 ――そういえば、お父さんのことを『文学』って言ったのは、理沙さんだった、 と思い出したように腕を組んだ。 『文学の世界から来た人』 理沙さんは、お父さんのことをそう表現してた。  
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