【旋 律】後編 第八章

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  丁度、オムライスを食べ終える頃、 「ただいまー」という元気な声と共に、40代前半の母親だと思われる女性がリビングに顔を出した。 「お帰りなさい」 笑顔でそう告げる広瀬に、 「ママー、お帰りなさい!」 と満面の笑みで母親に飛びつく薫。 そんな光景を眺めながら「お邪魔してます」と会釈すると、 「あら、はじめまして。 ゆっくりしていってね」 と彼女は明るい笑顔を見せた。 広瀬の母親は明るく若々しく、快活ではつらつとした女性だった。 「ママ、お兄ちゃんがオムライス作ってくれたよ」 「いいわね~」 そう言って目を細めた母親に「作ろうか?」と広瀬が立ち上がると、 「ううん、大丈夫よ。会社でおにぎり食べたから。ああ、もう、クタクタよ~」 彼女はそう言って、ソファーに身を委ねた。  
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