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「あっ、そうそう、楓。
金曜日ね、会社の飲み会があって、出欠の返事出さなきゃいけないんだけど、何か予定入ってた?
楓に予定が入ってるなら、欠席するつもりなんだけど」
そう尋ねた母親に、
……金曜は確か友達とライブに行くって言ってたよな?
と思っていると、
広瀬は「金曜日……」とほんの一瞬、目を伏せ、すぐに顔を上げてニッコリと微笑んだ。
「ううん、大丈夫だよ。
予定は何も入ってないから行っておいでよ。
薫の面倒は見るから」
「本当?嬉しいわ~」
そんな広瀬に、はっ?と目を開いた。
――どうして、予定が入ってないなんて言うんだ?
あんなに嬉しそうに、楽しみにしていたのに。
すると広瀬はゆっくり立ち上がり、「じゃあ、部屋に行ってるよ」と母親に告げ、「布施、こっちが俺の部屋」とこちらに目を向けた。
「……ああ」と頷き、広瀬と共にリビングを出た。
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