【旋 律】後編 第八章

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  「そんなこと、考えたこともないな」 眉を寄せながらそう告げた広瀬に、ゆっくりと身体を起こし視線を合わせた。 「じゃあ、何とも思ってなかったわけだ?」 自分の必死のアピールを気にも留めていなかった。 そう思うと、それはそれで情けない気持ちになった。 「どうだろう……? 思うと言うより、感じることはあったけど……」 広瀬はそう漏らして、目を伏せた。 「感じる?」 「いや、なんでもない」 余計なことを言った、という様子で目をそらした広瀬に、思わず身を乗り出した。  
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