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「なんだよ、気持ち悪い。言えよ」
ムキになってそう声を上げると、広瀬は小さく息をついた。
「教室で、お前の話を聞いていると、なんだか痛々しくて……たまに苦しくなる」
その言葉に、鼓動が跳ねた。
「な、なんだよ、それ?」
軽く笑ったつもりだったが、顔は最悪だった。
誰も知らないどころか、自分でも気付かなかった真実に触れると、人は間違いなく混乱する。
「俺が痛々しいってなんだよ?」
「ごめん、変なこと言ったな」
「謝るなよ、ずりぃよ。
お前も俺が羨ましいだけなんだろ?
お前も俺みたくなりたいだけなんだろ、カッコつけたこと言ってんなよ」
自分がどんな表情をしているのか、今すぐにでも鏡を見たい気分にかられた。
きっと、泣きそうな顔をしていたに違いない。
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