【旋 律】後編 第八章

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  「なんだよ、気持ち悪い。言えよ」 ムキになってそう声を上げると、広瀬は小さく息をついた。 「教室で、お前の話を聞いていると、なんだか痛々しくて……たまに苦しくなる」 その言葉に、鼓動が跳ねた。 「な、なんだよ、それ?」 軽く笑ったつもりだったが、顔は最悪だった。 誰も知らないどころか、自分でも気付かなかった真実に触れると、人は間違いなく混乱する。 「俺が痛々しいってなんだよ?」 「ごめん、変なこと言ったな」 「謝るなよ、ずりぃよ。 お前も俺が羨ましいだけなんだろ? お前も俺みたくなりたいだけなんだろ、カッコつけたこと言ってんなよ」 自分がどんな表情をしているのか、今すぐにでも鏡を見たい気分にかられた。 きっと、泣きそうな顔をしていたに違いない。  
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