【旋 律】後編 第八章

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  背後では彼女の友人数人が睨むように見守る姿。 下校中のうちの生徒達も皆、面白いものを見るように注目していた。 俺から言わせたらハッキリ言って地獄のような状況だ。 広瀬にとっても酷な状況だったようで、少し困ったような表情を浮かべているところに追い討ちをかけるように、 「覚えていませんか? 私……文化祭であなたに案内してもらったんです。 優しくてカッコよくて、ずっと広瀬クンのことばかり考えていました」 そう言って目に涙を浮かべる彼女。 「広瀬クン、カッコイイー」 と周囲の野次も飛んでいた。 そんな中、 「……友達としてなら」 と答えた広瀬に、彼女は顔を真っ赤にした後、「ありがとうぉ」とポロポロ涙を零した。 そんな彼女にスッとハンカチを差し出す広瀬の姿は、まるでドラマのワンシーンのようだった。 「おいおい広瀬、モテモテだなぁ」 友人の言葉に「行こうぜ、バカバカしい」と答えた。 ムカついて苛立って、仕方がなかった。
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