【旋 律】後編 第八章

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  その日、気に入っている女の家に行き、いつものように行為に及んだ。 キスして押し倒して、服を脱がす。 彼女を抱きながら、広瀬のことを思い出した。 あいつもこうして、あの彼女を抱いているんだろうか? そう思うと、やりきれないような気持ちになった。 なんでだよ、何がこんなに面白くないんだ? あいつが女にモテるのが気に入らないのか? どうして、こんなにモヤモヤするんだ? そう思い、その鬱屈をぶつけるように彼女を抱く。 行為を続けながら、こんなこと誰でもする、当たり前のこと、と何度も言い聞かせた。 そう、誰だってする特別でもなんでもないこと。 あいつが彼女を抱くのも、特別でもなんでもないこと。 そう言い聞かせた。 そうしないと、やりきれない気分だった。  
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