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その後の休憩時間、広瀬のいつもの友人が近付き、
「広瀬ぇ、今度の金曜、暇?」
と笑顔で身を乗り出していた。
「うん、今のところ」
「じゃあ、一緒にライブ行かねぇ?広瀬、ジャズピアノとか好きだって言ってただろ。実はチケットもらってさ」
その言葉に広瀬は「マジで?」と珍しい声を上げていた。
「ああ、行くだろ?」
「行きたい、嬉しいな。
実はライブとか行ったことがなくて」
そう言い屈託ない笑顔を見せる広瀬の横顔をなんとなく見ながら、思わずこちらの頬も緩むことを感じていた。
――なんだ、ちゃんとこんな顔できるんだ。
いつも大人びた悟ったようなような顔ばかりしているかと思えば、子供みたいに無邪気で屈託ない笑顔もできるんだ。
何故か嬉しい気持ちになりながら、一緒に行こうと話を持ち掛けた友人を羨ましく感じていた。
そして、
なんで羨ましいんだよ、馬鹿か、俺は……。
と自分自身に苦笑した。
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