【旋 律】後編 第八章

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  その後の休憩時間、広瀬のいつもの友人が近付き、 「広瀬ぇ、今度の金曜、暇?」 と笑顔で身を乗り出していた。 「うん、今のところ」 「じゃあ、一緒にライブ行かねぇ?広瀬、ジャズピアノとか好きだって言ってただろ。実はチケットもらってさ」 その言葉に広瀬は「マジで?」と珍しい声を上げていた。 「ああ、行くだろ?」 「行きたい、嬉しいな。 実はライブとか行ったことがなくて」 そう言い屈託ない笑顔を見せる広瀬の横顔をなんとなく見ながら、思わずこちらの頬も緩むことを感じていた。 ――なんだ、ちゃんとこんな顔できるんだ。 いつも大人びた悟ったようなような顔ばかりしているかと思えば、子供みたいに無邪気で屈託ない笑顔もできるんだ。 何故か嬉しい気持ちになりながら、一緒に行こうと話を持ち掛けた友人を羨ましく感じていた。 そして、 なんで羨ましいんだよ、馬鹿か、俺は……。 と自分自身に苦笑した。
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