【旋 律】後編 第八章

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  「はい、薫」 そう言って広瀬がテーブルにオムライスを置くと、弟は嬉しそうに目尻を下げて「いただきます!」と大きな声でガツガツと食べ始めた。 そんな薫の食べっぷりと、黄色いオムライスがとても美味そうに見えて思わず「美味そ」と声を出すと、 「お前も食うか?」 と笑顔でこちらを見た。 えっ?と戸惑いながら、 「ああ、じゃあ、遠慮なく」 と多少の気恥ずかしさを感じながら頷くと、 広瀬は「ちょっと待ってて」と、またキッチンに立ち自分達二人分のオムライスを作り、テーブルの上に並べた。 ホカホカと温かな湯気が出ている黄色のオムライスに、シンプルに乗せられたケチャップ。 「マジで美味そう。いただきます。 いつも広瀬が夕食作ってるのか?」 心底感心の声を上げると、 「母親が仕事で遅くなるときだけだよ。 それにオムライスは誉められる料理でもないと思うけどな」 広瀬はそう言ってテーブルに付き「じゃあ、俺もいただきます」とオムライスを口に運んでいた。  
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