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「お兄ちゃんのオムライス、美味しいよ」
口にいっぱいケチャップをつけながらそう言う薫に、広瀬はクスクスと笑った。
「良かった。
それより薫、口にいっぱいついてる。それにグリーンピースもちゃんと食べないと」
その言葉に薫は顔をしかめたあと、意を決したようにグリーンピースを口に運び、「食べれた!」と誇らしげな顔を見せた。
「えらいな、薫」
そう言って弟の頭を優しく撫でる広瀬の姿を前に、不思議な気持ちになっていた。
なんていうか、広瀬はもっと裏のある男だと思っていた。
こんな風に見た目通りに優しい男だとは思わなかった。
こんな風にオムライスを作ったりする姿も、想像もつかなかった。
そう思い、自分のオムライスに視線を落とし、そしてグリーンピースを見て苦笑した。
正直、自分もグリーンピースは苦手だった。
しかしこの場で食べられないと言うわけにもいかず、意を決して無理して口に運んだ。
「…………」
広瀬の作ったオムライスに入っていたグリーンピースは、思ったよりも不味くはなかった。
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