【旋 律】後編 第十章

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  ……今更かもしれないけど、すぐ目の前にある楓くんの整った顔立ちがとても綺麗で、真っ直ぐにこちらを見詰める瞳にドキドキする。 頬に触れた大きな手に、身体が発火するように熱い。 クラクラと目眩を感じていると、楓はゆっくりと顔を近付けて来た。 ―――キス、される? と円香は目を細めた。 しかし重ならない唇に『あれ?』と目を開くと、楓は悪戯な笑みを見せた。 「円香からキスして?」 「えっ?」 その言葉にカーッと頬が熱くなり、恥ずかしさから俯くと、 「いや?」 と尋ねる楓に「そ、そんなこと……」と小さく首を振り、そっと自分から柔らかく唇を合わせた。 恥ずかしさからすぐに唇を離すと、楓はクスリと笑って、 「もう終わりなんて寂しいな」 と円香の後頭部に手を添えて、キスを落とした。 何もかも絡めとるようなキスに、意識が遠のく気がしながらも、その情熱的なキスを受け止めた。
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