【旋 律】後編 第十章

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  「でも、もう見守らなくていいです」 サラリとそう言った亜美に、布施は「えっ?」と目を開いた。 「どうして?」 「お父さんが私を守ってくれるように、これからお父さんのことは私が守るから」 そう言って亜美は胸に手を当てた。 「亜美ちゃんに守ってもらえるなら、最強だなぁ」 「でしょう? 私、格闘をはじめたのはママを守ってあげたかったからなの。 ママが再婚したら守らなくていいかと思えば、守りたい人が増えちゃった。 人って大切な人を守りたいって思う生き物なのかもですね」 真っ直ぐな瞳でそう言って笑顔を見せる亜美に、布施は眩しいものを見るかのように目を細めた。  
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