【旋 律】後編 第十章

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  「――君と同世代に生まれたかったな」 頬杖をつきながらそう漏らした布施に、亜美は少し身を乗り出した。 「どうしてですか?」 「ん?きっと若い頃に君みたいな子に出会っていたら、きっと夢中になっただろうな。 ……泥沼から救ってくれたかもしれない」 シミジミとそう告げた布施に、亜美は「やだ」と笑った。 「夢中になるだけなら、いつでもお好きにどうぞ。 それに助けてほしいなら、いつでも力になりますよ」 満面の笑みでそう言い切った亜美に、布施はまた笑った。 本当に凄い子だ。 愛しい人と一緒になって、こんな素晴らしい娘を持つことが出来た広瀬が本当に羨ましい。 ……それにしても、この子の彼氏になろうって男は、よっぽどの自信家か無鉄砲か身のほど知らずなんだろうな。 そう言う意味では、薫君はまさに適役なのかもしれない。 布施はそう思い、亜美を眺めながらクスリと笑った。  
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