【旋 律】後編 第十章

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  布施はフゥ…と息をつき、目を伏せた。 いっそ、気持ちを伝えたなら、あいつはなんて言うだろう? そう思い、ふと理沙の告白とそれに対する返答を思い起こした。 女子大生からの告白に、 『……だけど、僕がなんて答えるか、きっと君には分かっているよね?』 そう答えた広瀬。 そうだな、きっと俺が想いを告げても同じように言うんだろうな。 『お前は俺がなんて答えるか、分かってるだろ?』 きっとそう言いそうだ。 「あの……『救ってほしい』なんて、布施さん、なにかつらいことがあるんですか?」 心配そうに身を乗り出してそう尋ねた亜美に、布施は笑みを返した。  
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