【旋 律】後編 第十章

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  その瞬間、会場がシンと静まり返る。 「ご紹介に預かりました、K高校代表、広瀬楓です。 我がK高校のディベート部が発足して5年。 その間一勝もしたことがなく一勝を目標に掲げ努力し続けた結果、一勝に留まらず優勝することができて、本当に嬉しく思います」 そこまで言って顔を上げ、何か驚くものを見たかのように目を開き、ピタリと口を閉ざした。 ―――何を見付けたんだ? 広瀬の視線の先に目を向けると、二階席中央に彼女の姿があり、一瞬呼吸が止まるほどに驚いた。 壇上に立つ広瀬と、二階席最前列中央に立つ彼女。 二人は目をそらさずに真っ直ぐに見詰め合っていた。  
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