【旋 律】後編 第十章

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  俺はきっとこの日を忘れないんだろうな。 お前が一つ殻を破った日。 そして悲しいほどに美しく、見事だった魂の告白を。 そんな俺たちはいつまで一緒にいられるのか……。 いずれ卒業して社会に出て、いつか二人は誰かと結婚し、それぞれの人生を歩んでいくだろう。 でも、いつまでも友達を続けながら、俺はお前を想い続けるだろう。 この感情が何なのかは分からない。 ただ言えるのは、 広瀬、お前に何かあったら、俺は必ず駆けつけてお前の力になる。 お前の幸せを誰よりも祈る。 皆に囲まれ祝福されながらも、今も満たされていない広瀬を眺めながら、誓うようにそう思った。 ―――それは高校二年生の初夏だった。  
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