【旋 律】後編 第十一章

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  裕子は頭の回転が速いだけではなく、察しのいい女だった。 ―――こいつと再会した時に言われた一言には驚かされたな。 『布施君、結婚は?』と尋ねた彼女に『いや、まだ』と答えると、彼女は心底は意外そうな表情を見せた。 『布施君って絶対、結婚が早いと思ってたわ』 『どうして?』 俺が女好きだからか?と笑うと、 『だって、凄い寂しがり屋でしょう?』 と彼女は真顔でそう告げた。 簡単に自分を見抜かれた気がして、度肝を抜かれた。 『寂しがり屋』 まさにその通りだったが、それを見抜いた人間は少ないだろう。  
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