【旋 律】後編 第十一章

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  「分からなくていいよ」 思いを告げた自分に、『つらかったな』と言ってくれた広瀬。 俺の気持ちを流しも、誤魔化しもせずに、しっかり受け止めてくれた。 15の時からずっと抱え続けた切なさを、ちゃんと受け止めてくれた。 好きになったのが、あいつで良かった。 心から、そう思った。 噛み締めるように笑みを浮かべる布施に、裕子はよく分からない様子で小首を傾げながら、ふぅ、と息をついた。 「正直、意外。布施君が失恋なんて」 「だろ?俺も意外」 「ちゃんと恋愛してるんだ」 「そういう、お前は? 冗談じゃなく、ずっと男日照りだろ? 仕事一筋もいいけど、私生活も少し潤わさないと、芯から枯れてくるぜ」 「お、大きなお世話よ」 裕子は頬を赤らめ、横を向いた。  
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