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「分からなくていいよ」
思いを告げた自分に、『つらかったな』と言ってくれた広瀬。
俺の気持ちを流しも、誤魔化しもせずに、しっかり受け止めてくれた。
15の時からずっと抱え続けた切なさを、ちゃんと受け止めてくれた。
好きになったのが、あいつで良かった。
心から、そう思った。
噛み締めるように笑みを浮かべる布施に、裕子はよく分からない様子で小首を傾げながら、ふぅ、と息をついた。
「正直、意外。布施君が失恋なんて」
「だろ?俺も意外」
「ちゃんと恋愛してるんだ」
「そういう、お前は?
冗談じゃなく、ずっと男日照りだろ?
仕事一筋もいいけど、私生活も少し潤わさないと、芯から枯れてくるぜ」
「お、大きなお世話よ」
裕子は頬を赤らめ、横を向いた。
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