【旋 律】後編 第十一章

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. ――――…… 翌日の早朝。 亜美は家から少し離れた場所で待っていると、やがて薫はランドクルーザーに乗って姿を現した。 「わあ、凄いね、この車。どうしたの?」 助手席に乗り込むなりそう声を上げた亜美に、 「親父の車なんだ」 と薫はイタズラな笑みを見せた。 「そうなんだ、すごいね。アウトドアって感じの大きな車」 「貸してくれって言ったら『30分肩揉みだ』って言われて、仕方ないから30分肩揉みしたよ」 そう言った薫に、亜美はプッと吹き出した。 「30分の肩揉みで、こんなに素敵な車を借りられたなら御の字じゃない」 クスクス笑って車中を見回し、テニスのラケットや、釣竿、バーベキューセットなどが詰め込まれているのに「わあ」と声を上げた。
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